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Drivetribeにピーターのインタビューが掲載されました

ニュル24時間が近づくと、ピーターのインタビューが出ます(笑)
今年はDrivetribeにファルケンのスポンサー記事としてですが、インタビュー記事が出ました。
これがなかなかのボリュームで読み応えがありましたので、とりあえず訳してみました。

ル・マンよりもファンが楽しめる24時間」についてピーター・ダンブレックが語る
マイケル・ハッフェンデン

24時間レースはそれぞれの特徴がある。例えばル・マンは人間とマシンの究極の挑戦と言われ、デイトナは夜間走行の時間が長いことで伝説となり、スパは60台以上のGT3マシンが優勝を狙うレースとして名を馳せている。ニュルブルクリンク24時間も例にもれない。その特徴はドライバーとファンの両方に「参加型」の耐久レースの最高峰の体験を与えることだと、いずれのレースにも参戦をした経験があるピーター・ダンブレックは語る。

「今まで自分が参加した24時間レースで比較すると、ル・マンニュルブルクリンクと直線距離で100マイルくらいしか離れていないと思いますけど、デイトナの方がニュルブルクリンクに近い雰囲気があります。他のレースとル・マンはすべてが違います。プレッシャーも段違い。レースの規模も、関連するセレモニーも違う。さすがは24時間レースの象徴と言われるだけのことはある、という感じです」と語る。

ニュルブルクリンク24時間は、参加型レースの象徴と言えます。ル・マンほど素晴らしいセレモニーがあるわけでもないですし、挙句にファンがピットガレージの中にまで入ってきますからね!
まあ今はピットガレージの入り口には警備員が立っているので入ってこられないようにはなっていますけど、何かのタイミングで警備員がいなくなると、酔っぱらったファンが入ってきちゃうんですよ」

ピットが混雑をしているのは酔ったファンが入って来てしまうからだけではない。どのピットでも1つのガレージを5台か6台のマシンでシェアしているため、ピットストップやチームの戦略は、他のチームとタイミングが重ならないように綿密に計算され、完璧に実行されないとならない。

「1つのピットを5台か6台で使っています。これはル・マンだと聞いたことないでしょうね。ピットに給油に来たり、タイヤ交換をしたり、ピットの前で作業したり。そういう時にはお互い協力や配慮をしないといけないんです。6台全部が同じタイミングでピットインをしないといけないなんてことになったら大変ですよ。どんなことになるか想像がつくでしょうけど(笑)
ピットの正面で口論になっているとかは珍しいことでもないんですよ。メカニックもエンジニアも、そういうことにも適応していかないといけないんです」

ファンによって作られるお祭り騒ぎの雰囲気
ノルトシュライフェに来ているファンが“攻め込む”のはピットだけではない。コースサイドのそこここにテントや建物を建て、ニュルブルクリンク24時間の期間中ずっとそこでパーティをしながらのキャンプ生活をするのだ。

「コース中がすごいお祭り騒ぎですごいですよ。みんなどこからともなくやってきて、1週間ずっとキャンプしているんです。天気が良ければファンの数も増えてるんですよ。そして彼らはパイプを組み立ててものすごい建物を作っていくんですが、これがまた毎年大きくなっていくんです。
ちゃんとパイプを組み立てて、バスタブを設置したりとか、バーなんかもありますね。彼らは毎年レースが終わったら、翌年はもっと大きいのを作る計画をしているんじゃないですかね。20人くらいのグループで“俺は建築屋だからこれを作る。お前は水道屋だからバスタブのパイプをつなげ”みたいな感じで(笑)
でもまあ実際のところ、自分はレースのためにニュルブルクリンクに来ると直接サーキットに入って、レースが終わればすぐ帰ってしまうので、ゆっくり見て回ってはいないですが」

ニュルブルクリンク24時間の特徴である「キャンプをしながらコースサイドを埋め尽くすファン」という存在が、特に日没後にはドライバーの集中を妨げるということをダンブレックは否定しない。

「夜には花火を上げたりとか、話し声とか、コースに煙が入ってきたりとかするんですよ。夜中の3時にコースの中に煙が入ってくると“これは霧!?”って思うわけです。でもそれが霧じゃなくて、バーベキューとか、たき火の煙なんです。ドライブしていても、ソーセージを焼いている匂いがわかるんですよ!
それに限らず、どんなことが起こっていてもそういうことに気をとられないように、コース上のことと、マシンをドライブするということに集中してレースをしないといけないんですよ」

ノルトシュライフェのスペシャリストになるまでの道程
1990年代はシングルシーターでレースをしていたダンブレックは、F1ドライバーになることが目標としてレースキャリアをスタートした。
その後はメルセデスと契約したが、彼の有名な1999年のル・マン24時間でのクラッシュは、ダンブレック自身だけでなくメルセデスのトップレベルでの耐久レースへの参戦を中断させることとなった。しかしダンブレックは引き続きツーリングカーでメルセデスをドライブすることとなり、DTMではメルセデスで成功を収めた。そしてメルセデスからオペルへの移籍が彼を耐久レースの世界へ復帰させ、2004年にニュルブルクリンク24時間に初参戦することとなった。

その後はニュルブルクリンクでレースを続けることとなり、今年のニュルブルクリンク24時間は、彼にとって16回目のエントリーとなる。ダンブレックははこの20.8kmのノルトシュライフェのコースを良く知る、と言っても過言ではないだろう。

2019年のVLNの第2戦の後にダンブレックと話す機会を持ったが――第2戦ではファルケンがレースをリードしていた2周目、突然の大雪で赤旗が出た――45歳のベテランのダンブレックは、レースに対する気持ちを常に新鮮で、心躍るものであるように保つことが難しいということを認めた。そんな彼は、このノルトシュライフェでしか味わえない挑戦こそが完璧なものであるという。

ニュルブルクリンク以外でレースをしたのはいつだったでしょうね。思い出せないくらいです(笑)。2013年のル・マン24時間で、アストンマーティンで走ったのが最後ですね。もう6年も前です。
物事は常に変化を続け、それに伴って課題も変わっていく。45歳の今の自分の課題は、レースに対して興味を持ち続けること、いつも新鮮な思いでレースに向き合うことです。
同年代の仲間がみんな引退しても、自分はレースを続けていたいっていう目標があるんです。あとは引退した仲間がカムバックしてきた時にもまだレースを現役で続けているとかね。でも、まだどっちの段階にもなっていないからもうしばらく頑張らないといけない(笑)」

ダンブレックのレースに対してプロフェッショナルで、一貫してむらのない姿勢が、メルセデスBMWアストンマーティン、日産、トヨタスパイカーなど、数多くのメーカーでドライブする機会を作った。
ダンブレックがファルケンタイヤと契約を結んだのは13年前だ。そしてその後、ファルケンのプログラムが成長し、レースで優勝を遂げるようになるまでの発展に貢献してきた。

ファルケンのニュルブルクリンク参戦プログラムは素晴らしいものです。自分は2007年、このプログラムの比較的初期の頃から参加しています。2007年が、自分がファルケンから参戦した初めてのニュルブルクリンク24時間ですね。
ファルケンにとって、このプログラムがまだ比較的規模が小さいころから、今のように2台のマシンが両方とも優勝を狙い、タイヤの開発も進み、速いドライバー達が集まるチームになるまでを見てきました」

ダンブレックは、ファルケモータースポーツの進化は、参加型モータースポーツの最高峰とワークスからのトップチームの参加がミックスされたニュルブルクリンク24時間の進化と密接の結びついていると考えている。

「基本的にはVLNもニュルブルクリンク24時間も同じように変化をしています。2003年にオペルDTMのマシンでニュルブルクリンク24時間に初めて参戦した時と現在の状況なんて、もう比べものにならないくらいです。
今はニュルブルクリンク24時間に出てきていないワークスチームなんて、ほとんどないでしょう。GTでレースしているドライバーもほとんど全員揃っています。たまに出ていないドライバーがいると、どうして出ていないのか不思議になるくらいですよね。
主なファクトリードライバーは全員、少なくともドイツの自動車メーカーのドライバーは全員と言ってもいいくらい集まっていて、タイヤメーカーもほとんど全部が出てきている。素晴らしいレースですよ。サーキットもアイコニックで、特にトラフィックの中ドライブするのはものすごいチャレンジです」

192台との24時間レースは一筋縄ではいかない
もしもノルトシュライフェを自分でドライブすることだけでは“挑戦”というには物足りないと思うなら、193台のエントリーがあった2019年のVLN第2戦を紹介したい。

ダンブレックは、このような台数のレースではレース中のトラフィックの扱い――接触を避けることとタイムをロスしないようにすることのバランスをとることは、どれだけ走ったとしてもマスターしたと言い切れることはないと考えている。

「レベルが高いドライバーならすぐコースを覚えて、慣れていくと思います。でもコースだけでなく、トラフィックにも慣れて、安全に抜いていくことも覚えないといけない。いつ抜いていったらいいかのタイミングなんかはとても難しい。
いつも“タイミングが難しいな。前のドライバーは俺の方に入ってきたりとかしないよな?”とか考えて走ってます。だって、人間はみんなミスをする生き物なわけです。” 自分が後ろにいるのはちゃんと気づいているかな?接触したりしないよな?もし当たったら車にはどんなダメージになるかな?”なんてずっと考えています。
24時間も走っていて、一度も他のマシンと接触をしないで終わるなんて、そんなラッキーなことはなかなかないんですよ。もちろん誰とも当たらないでいることが一番なんですが、それでも綱渡りをしているようなもので、100パーセントの力を出してどれだけ速く走れるかということと、他のマシンをどれだけきれいに抜いていくかということの、バランスを取りながら走らないといけないんです」

どんな時間帯でも、どんな天気でも全力で24時間を走り抜ける
モータースポーツにおいては1秒が貴重だとはよく言われるが、現代の耐久レースでも同じである。ライバルよりミスを少なく、そして長く走っていれば勝つことができるという時代は昔のことだ。現代のドライバーたちは24時間のスプリントレースを走らなければならない。
例えば2016年のニュルブルクリンク24時間では、最終ラップに2位のマシンが1位のマシンを抜いて、チェッカーの段階では5.7秒差で優勝となった。

「例えば1台抜くのに0.5秒余計に悩んだとしたら、ラップタイムにそのまま表れます。他のマシンが限界まで攻めている中で1周で5秒もロスなんてしていられない」

そして雨や雹、雪や霧――変わりやすい天候でも知られるニュルブルクリンクでは、24時間レースを完走するだけでも、素晴らしい結果だったと多くの参加者たちが認めるということも理解できる。

「この広い森や丘の中でレースをしていると、天候がどうなっているかなんてさっぱりわからないんです。実際、ここでは雪が降っているのに、あっちでは晴れているとか、そういうことが起こりえる…いや、起こるんですよ(笑)
だから何が起こってもいいように準備していないといけません。多分、自分はそれに対応ができているから、ニュルブルクリンク24時間やVLNで長いキャリアを積むことができているんでしょうね。ここでは経験はとても大事なので」

ここでしかないという挑戦が、ここニュルブルクリンクでの耐久レースをとてもやりがいのあるものにしている。数多くの、そして様々な障害が、表彰台での美酒の味をさらに良くしている。

2014年、ファルケンはニュルブルクリンク24時間では997スペックのポルシェ911 GT3 Rで総合4位を獲得し、その翌年には総合3位の表彰台に上がり、1999年からの参戦をしてきたチームのハードワークに報いることができた。

昨日の敵は今日の仲間
ジュニアフォーミュラからステップアップをしていったドライバーたちは同じマシン、同じチームで走っているチームメートに勝つことが非常に重要である。
しかし耐久レースの世界に足を踏み入れれば、そんな今までの敵たちと“自分の” マシンをシェアをすることになる。つまり、チームメイトとフレンドリーに、かつプロフェッショナルな関係を築いていくことが成功の秘訣になるのだ。

「自分はシングルシーターからキャリアをスタートしたジュニアフォーミュラのころは、とにかくチームメイトに勝つということが一番大事でした。そしてジュニアフォーミュラから日本のレースのフォーミュラニッポン、そしてDTMでも同じですね。
マシンも自分だけのマシン。ライバルに勝つということにとにかく集中する――まずは同じチーム、同じマシンに乗るドライバーに勝つ。次にはレースに出ている他のマシンに勝つ。そしてチャンピオンを獲得するために走っていました。
でも経験を積んで、シングルシーターから耐久レースにスイッチすると、チームメートが一番の友達であるように、うまく付き合っていかないといけなくなる。
とはいえ、車の運転をして競争をするのが好きなやつらがドライバーなわけで、自分のことだけに集中しすぎて、広い視野を持てなくなることもあります。でもGTカーのレースでは、チームメイトに頼らないといけない場面も出てくるんですよ」

体力的・精神的な疲労:耐久レースで誤解されていること
レーシングドライバーは車を運転するだけだから、高いレベルでのフィットネスは必要がないという誤解を受けがちである。確かに運転をサポートするシステムというものも発達してきているが、それでもモータースポーツ、特に耐久レースではフィジカル面を要求される。
ここでダンブレックが強調するのは、24時間レースでは2倍疲れる、ということだ。体力ももちろんだが、精神的にさらに疲れるという。
ほとんどのドライバーは当日の睡眠不足に備えて十分な睡眠をとるようにはしているが、それでも精神的な疲れからは逃れることができない。それもまた耐久レースに含まれる一つの項目なのだ。

「精神的な面での問題は、マシンから降りたら3時間か4時間後にはコックピットに戻ってこないといけないということがわかっているわけです。
その間に食事をすませ、シャワーも浴びたい。時間を無駄にしたくないのにインタビューを受けないといけないとか、話をしないといけない人が来ることもある。チームとのブリーフィングがあったりもする。
そういうことを全部済ませたら、2時間くらい横になることができる。けれども、そこで熟睡をすることはまずないです。どんなに疲れていて眠くても、マシンに乗る5分前に起きてドライバー交代をするわけにはいかないですからね(笑)
ここで生きてくるのが経験です。前回何をやったかを覚えていればいい。24時間レースの最後には、精神的にも肉体的にもとても疲れます。日頃のトレーニングがあれば体力の方はなんとかできますけど、精神面の方はもう、慣れていくしかないんです」

ノルトシュライフェで電気自動車のラップレコードを記録
過去15年で数々のGTカーをドライブしてきたダンブレックは、マシンの開発について解説をするにも最適のドライバーだ。
そんな彼はこの数年の間に急激に進歩したタイヤ、技術、ダウンフォースについての話だけでなく、電気自動車(EV)がGTカーのレースに参入するようになるのも間もなくではないかということも語った。

「GT3カーは、ちょっと前まではそんなに速くない、比較的手ごろな価格の車両でした。今は価格も高騰してしまいましたが、その代わりマシンのパフォーマンスも良くなった。
もしシリーズ側がBoPは無しにするよ、好きにやりなよなんて言ったら、GT3カーはストレートでは時速300kmくらいは出るようになると思いますよ。今は時速265kmくらいしか出ませんが。
技術の向上を狙うと、結局みんな同じ方向に向かうものですよ。今後はEVの技術も進化して、GTレースにも参入してくるされることでしょうしね」

例えEVがGTレースの世界に参入してきたとしても、ダンブレックはすでにNIO EP9でニュルブルクリンクでのEVのラップレコードを記録したこともあるため、EVが場違いだと感じることはないだろう。
この時、いつも190台と混走しているノルトシュライフェを独占して走るということは少し奇妙にも感じたようだが、その経験は今までのEVへの認識を改めるものだったとダンブレックは語る。

「EVが耐久レースを完走できるかというのはわからないですけれど、でもEP9を初めて見たときには、その時代はもうすぐやってきそうだな、と思いました。
初めてEP9をドライブした時は、NIO側は“新しいバッテリーを準備してある。そのバッテリーはもっとパワーが出る。だからそれを使ってラップレコードを更新することができるはずだ”って言ってきたんですよ。だから“もっとパワーが出るなら、ラップレコードを出すのはそんなに難しくないかな”と思いました。でも最初のアタックで、もうラップレコードが出てしまった」

EVのGTレースへの参入にはまだ少し時間がかかりそうではあるが、ファルケンの”最終目標”はもうすぐのところまで来ている。
ファルケモータースポーツは、ニュルブルクリンク24時間の準備としてVLN第3戦に参戦するが、第2戦からのいい流れのまま行きたいと考えている。

2019年のニュルブルクリンク24時間はル・マン24時間の翌週、6月22日、23日に開催される。2週連続で24時間レースが開催されるが、疲れ果てたレーシングドライバー、チーム、そしてファンの姿を見ることになるだろう。


まあ大体この時期に出てくるインタビューなんで内容は同じようなもんなんですけど、これはなかなか長かった…。

この記事、ピーターのコメントが多いのはいいんですけどなんかちょっと細かいところがちょいちょい気になる…(地の文の方で)
この人あんまりレース見てる人じゃないんじゃないかな…みたいな…。
まあいいんですけど…。(めんどくさいオタク)

話の主題とは多分あんまり関係がないところなんですけど、個人的に刺さったのが「マシンを降りたら3-4時間でまた戻る」のところの件ですね。
ファルケンさんは基本的に全員1スティントで交代するからね…。
たまにレース中にピーターと顔を合わせてしまったときに(出待ちとかしてるわけじゃないけど、まあファルケンの様子をうかがいに行くと、会っちゃったりとかもするわけよ)、まあちょっと声をかけて様子をうかがってしまったりとかすることもあるんですが、なんかご迷惑おかけして申し訳ない…って気持ちに……。
話はしないか、なるべく短く切り上げるように心がけます…。

あと、同年代がみんな引退しても自分は走っていたい的なことなんですけれど、これは結構昔から言ってましたね…。
クラウス・ルドビックがレースを引退して2000年のDTMで走ったり、その後また引退したけど2007年のニュル24時間で復活したりとかあったんですけど、彼は1949年生まれなので2007年の時には60歳近かったんです。だけどちゃんと速かったので「すごい!かっこいい!自分もああでいたい!」みたいなことを言っていたことがあるんですよ。
でも確かに年とってもちゃんと速いドライバーさんってかっこいいですよね。タルキーニとかさ。
ピーターがそうなりたいなら、そうなりますように!と祈ります!
私もレースを観に行く体力は失わないように頑張ります(笑)