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ダンブレック先生に聞く10の質問

明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします。

さて、新年ひとつ目のblogエントリは、「ピーター・ダンブレックに聞く10の質問」ってカンジのインタビュー記事が、speed.comに載ってましたので、和訳してみた。
2010年12月中に出たインタビューでしたが、年越してしまった。

ピーター・ダンブレックに聞く10の質問
Sumo Power GTのドライバーがFIA GT1の初年度について語る

2010年に始まったFIA GT1には、新規のシリーズに参加するということで、チームも経験豊かなドライバーを雇う傾向が強かった。ピーター・ダンブレックもその一人で、彼の名前を世界選手権のステージで再度アピールをした。
彼は、メルセデスベンツのワークスドライバーだった1999年にル・マン24時間で、マシンが空を飛んで森の中に着地、というアクシデントから無事生還して、世界に名前が知れ渡った。そのあとは5年間、DTMメルセデスオペルでキャリアを積んだ。
その後はスーパーGTや、LMSのスパイカー、ALMSのPetersen/White LightningといったGT2のマシンでレースをしていた彼が、2010年はLMSとFIA GT1の2つのシリーズでフル参戦の機会を得た。LMSはスパイカーFIA GT1ではSumo Power GTという新しいチームでダンブレックとミハエル・クルムがチームを組み、ドライブをした。
二人はFIA GT1では浮き沈みの激しいシーズンを送ったが、予選レースでの1勝を含め、ドライバーチャンピオンシップでは9位でシーズンを終えた。Sumo Power GTのもう1台がシルバーストーンで獲得したチャンピオンシップレースでの1勝も含め、確実に上位に食い込むレースを見せたSumo Power GTは、生産的なシーズンを送ったと言えるだろう。

さて、そんなダンブレックと12月上旬にサンルイスでの最終戦で、FIA GT1の初年度について彼がどう考えているか、スプリントレースの難しさやシリーズの今後などについてインタビューをすることができた。

Q: FIA GT1のレースフォーマットはうまくいっていると思いますか?

ピーター: そう思うよ。僕はLMSとかほかの耐久レースも走ったことがあるから、例えば今年のLMSと比べてみると、観客からしたら1時間だけ集中して見ていれば良いっていうのは楽なんじゃないかな。6時間もあるレースだとマシンはコースのどこにでもいるし、誰がトップかわからないことも多い。FIA GT1みたいに見どころが1時間にギュッと詰まってるようなレースっていうのは、いいと思うよ。

Q: スプリントってことで、DTM時代のやり方に戻ったような感じですか?

ピーター: そうだね。大きいツーリングカーを走らせてるような感じだ。レースが1時間で、ツーリングカーよりも長いから、それにもうちょっと戦略的な面も付け足したような感じかな。ツーリングカーよりも長いレースだから、タイヤがどうとか、色々なことも起こる。レースの序盤は良くてもだんだん落ちてきて、あれ、今自分は何位にいるんだ?みたいなことも起こるよ。
ツーリングカーと同じなのは、何より予選が大事なところだね。レースでいいところに行きたければ、予選でQ3の8台に残らないといけない。そしてその8台に残れたなら、レースでは他と接触しないように、いつもよりも気を使わないと。そうしたらチャンスが広がる。

Q: 来年は変えないといけないと思っていることはありますか?

ピーター: 1年目はなんでもやってみなければわからないようなこともあるよね。個人的にはクラッシュを減らすようにした方がいいと思う。ああいう終わり方はみっともないと思うし、マシンだって高いんだからさ。まあそりゃあ僕たちドライバーが修理代を払うわけじゃないけれど、それでチームのコストがかさんで、シリーズ参戦続けられなくなったりしたら、結局困るのは自分たちだ。
シリーズとしてはいくつかの修正してもらいたい点はあるけれど、でも、いいシリーズだと思うし、うまくいってるんじゃないかとも思うよ。

Q: 1年目のSumo Power GTでこんなにいい結果を残せるとは思ってなかったんじゃないですか?

ピーター: それについては考えたことがなかったなあ。だけど、チームがこのくらいの位置にいることは予想していたんだ。ナイジェル・ステップニーはマシンの事はよくわかっていて、シーズン通してマシンの改良をしてくれていたし、チームも、自分たちも改善を続けていっていたからね。チームがプロだったかというと…最初は良くなかったけれど、いざ物事が動き始めてみたら、スムーズに行くようになった。僕は「継続は力なり」ってのは正しいと信じてるタイプの人間だからさ、もしも来年も、今年の仲間がみんな一緒にやっていけるなら、もっといい結果が出ると信じてるよ。
(訳注:ピ―ターの2011年も残留したいという切なる願いがここに表れているように思います…!)

Q : もし今年チームが、レース中の接触とかが無いような戦略をとっていたら、もっといい結果が出ましたか?

ピーター: チーム全体と考えたら、着実に結果を残したシーズンだったと思う。でも2台が同じ表彰台に上るっていう結果を1度も残せなかった。僕たちは7-8回表彰台に上がったけれど、22号車も23号車も、両方が表彰台に上がってポイントをとれていたら良かったね。

Q: GT1でのFIAのバランス・オブ・パフォーマンスシステムはどうでしたか?

ピーター: 安定していたと思うよ。シーズン終盤のレースは、マシンがコースに合わなかったから、結果が出ていないんだ。ブラジルではまあ上位に近づいたけど、マセラティやアストンのペースには追いつけなかったんだ。
GT-Rは、最低重量が問題なんだ。もうマシンから軽くできるところなんて何もないんだ。だからもしFIAからあと30kg軽くしろと言われても、無理なんだよ。来年は、どの車に対しても最低重量の規定が少し甘くなればいいね。そうしたら、もうちょっとやりようもある。
たとえばGT-Rは最高速が速いというように、どの車も車なりにアドバンテージを持っているんだ。直線でドラッグレースをやったら、僕達が一番速いだろうけど、タイトで細かく回らないといけないコーナーがあるようなコースでは、他の車の方が速い。
バランス・オブ・パフォーマンスはうまく調整されていて、タイムはだいぶ接近していたと思うよ。どのメーカーも1度は優勝をしていたんだから。すべてが黒白つけられてはっきり決着をつけられることばかりじゃないしさ。グレーでいることもあるんだ。そしてシーズン中もバランス・オブ・パフォーマンスの調整は続けられていたし、それでいいんじゃないかな。

Q: タイヤについては色々あるんじゃないですか?今年は週末通して4セットしか使えなかったというのは、これもまた一つの挑戦だったのではないでしょうか。

ピーター: 全くだね。週末通して4セット、プラクティスではその前のレースで使ってたのを1セットしか使えなかった。今回サンルイスでは、一人が何周かして、その次に走ったドライバーが同じようなタイムを出そうとしても、タイヤの一番おいしいところは終わってしまっていて、もう同じようなタイムは出せないという状況になったんだ。
基本的に、一人が予選前に4~5周のアタックをしてるんだ。そしてもしQ1で終わってしまったりしたら、もう一人のドライバーはあんまり走れないでレースに臨むことになってしまうんだ。
(注:2011年は6セットの新品タイヤの使用がOKになりました)

Q: 日産のGT-RはLMSのスパイカー C8ラヴィオレットと比べて、どう違いますか?

ピーター: 全然違うね。まずパワーが違う。スパイカーはGT2のフェラーリとかポルシェと比べると全然パワーがないんだ。もちろんGT-Rの方が速いというのは、車自体も大きいしタイヤも違うという点もあるけれど。スパイカーと比べるとGT-Rの重心が中心で高い位置にあるから、もっと重く感じる。スパイカーはフラットボトムで、細かいコーナーが続くようなサーキットだとそんなに悪くもない。あとGT-Rはパワーをかけようとしてるときはアンダーステなんだけど、パワーが乗ると途端にオーバーになる。

Q: 2つのシリーズを掛け持ちでフル参戦するのは、忙しかったんじゃないですか?

ピーター: そうだね。だけどドライバーとしては、タイプの違う車に対応して乗ることがちゃんとできたからよかったよ。最近は1つのシリーズしか走らないドライバーも多いけど、ちゃんと生計を立てて行こうと思うなら、やっぱり2つくらい掛け持ちしないとやっていけない。だから、違う車を走らせることにも慣れないといけない。今年は掛け持ちができて、よかったよ。

Q: 来年のFIA GT1はどんなシリーズになると思いますか?

ピーター: エントリーが1~2チーム増えるんじゃないかな。あと今参戦していないメーカーとも交渉しているらしいけれど、その交渉が成功するかどうかはわからないけど。色々難問もあるんだろうけど、結局のところは資金が問題なんじゃないかな。
もし誰かがマシンを走らせるだけの資金があるなら、SROはいいショーを見せてくれると思う。TVの放映権もちゃんと結んでるし、この不況の中に24台も集めてきたのはいい仕事をしたって言えるんじゃないかな。いい初年度だったんだから、色々改善されて、もっといい状況になれば、2011年はもっと良いシーズンが待っていると思うよ。


以上になります。
ピーターに、今年もFIA GTでもLMSでも、シートがありますように…。