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ティーマンの事故から10年 その2

さて、ティーマンの記事第2弾。ここからは前回の記事から少し突っ込んだ内容になっていきます。

マルセル・ティーマン:人生をとり戻すことは難しかった
事故から10年。マルセル・ティーマンは、人生を取り戻すための戦いに挑んでいた、困難な時期について語る。

「全てが崩壊したところから始まりました」――マルセル・ティーマンは、4週間の昏睡状態から目覚めたときに、彼の人生で築き上げてきたものがすべて崩壊していることを知った。そこから何年もかけて、現在46歳となったティーマンは人生、または生活を取り戻す戦いを続けてきた。そして、以前と同様ではないけれども、その戦いには勝利したのだ。

まずは、彼自身に何が起こったかを理解するところから始まった。
「右側がほとんど全部見えなくなっていました。もう、これでレースに戻ることはできないなとすぐにわかりました」
そして彼は、皮肉っぽく付け加えた。
「でもね、何秒かのうちにすぐ忘れてしまったんですよ。脳の損傷のせいで、短期記憶にも問題が出ていたから」

現在でも右の視野は戻らず、自動車の運転をすることはできない。また、事故の直後ほどではないけれども短期記憶の障害も残っている。「昏睡から覚めたあとの初めの2年は特にひどかった」と、ニュルブルクリンク24時間で5回優勝したティーマンは語る。

リハビリ開始直後はすべてがぐちゃぐちゃになっていた
2010年6月、人工的な昏睡状態が解かれた後、当時36歳だったティーマンは当初入院をしていたボローニャの病院から、ミュンヘン大学グロスハデルン病院へと転院した。その後はバート・アイブリンクのリハビリクリニックで5週間過ごした。
「すべてを学びなおす必要がありました。計算ができないどころか、文字も書けませんでした。数字も、文字も、左右もぐちゃぐちゃで――何もできなかった。全部がぐちゃぐちゃになっていたんです」
神経心理学医とともに、彼はおよそ1か月強ですべてを学びなおし、また世界へ戻ることができるようになった。 しかし以前とは同じ世界ではなかった。
「最初の2年は特に、人の手を借りないといけないことが多かったです。よく道を間違えていましたね。時にはすぐ先のお店に買い物に行くとか、食事に行くとかだけだったのに、家に帰る道がわからなくなりました。ただ家にもどることすらできなくなっていた。方向感覚がまったくなくなっていたし、記憶して、その記憶を保持し続けることもできなくなっていた」
事故後に彼に起きた大きな問題は2つ。1つが視界の問題で、世界の見え方がまるで違ってしまったということと、この短期記憶の問題だ。

後遺症のメリットとデメリット
彼が現在住んでいるパルマ・デ・マヨルカでは、今はほぼ生活には問題が出なくなっている。「自分が良く知っている場所だけですけどね。同じことを何度も何度も繰り返すと、少しずつ覚えることができるようになっているので。けれども、家族での外出とか、自分が行ったことがないところに出かけるときは、GPSがないと家には戻れません。ここ何年かでだいぶ状況は良くなってきました。その辺に捨てて帰られたら困っちゃいますからね」とティーマンは明るく笑う。

彼は、事故の前から、わからないことへの対応方法を知っていたので、現在でも彼の問題を極力見せないようにして生活をしている。道がわからない場合は、携帯のアプリで地図を見て移動したり、同行者についていったりしている。
「今、誰かと会っても、自分が抱えている問題について気づく人はいないと思います。脳に3か所も出血を起こすような事故から蘇ってきたような人間には見えないでしょうね。ただ、記憶だとか方向感覚だとかで、自分でも大丈夫だと思ったことができないことがたまにあるんです。そういう時は少し自分でもイラっとしてしまいますね」
彼は、事故の後に2年半のセラピーを受けていた。「でも、リハビリだけじゃなくて、自分の人生を生きていきたいと自分に言ったんです。そして今はそうしている。自分で生きていく、それだけでもうリハビリですよ」
4人家族となれば、覚えなければいけないことは少なくないだろう。


正直、「脳やっちゃったんだから記憶障害はあるだろう」と思ってはいました。ないわけがないと。
だけどティーマンは2010年のうちにもう英語でブログ更新とかしてたし、そこまでのことはないのかと思ってたんです。
2013年のミッレミリアの時にも、私の顔見て気づいてくれていたし、私がピーター・ダンブレックのファンっていうのもわかっていたし(笑)
なので、視界が戻らなかったくらいしか後遺症については考えていなかったんですけど、視界もですが短期記憶障害はかなり出ていたんですね。本当に気づかなかった。私のことなんかまで覚えていてくれたんだから、大したことなかったんだろうって思ってたんです。昔のことというよりも、さっきあったことを覚えていないっていう症状だったんですね。
交通事故などで脳挫傷の後にそういう障害が起きることもあるというような話は聞いたことありましたが、まさか自分の知っている人で起こっていたとは。なんというか今さらショックでした…。
でもやっぱり、実際自分が会ったときは、事故からまだ3年程度の頃でも全く変わりないように見えていましたからね。それはティーマンにしてみたら悪くはなかったってことかな…。

最近の自分、たとえば「あーcomaって日本語なんだっけ…artificial comaだと人工的に眠らせておくやつでしょ。なんだっけ睡眠じゃなくってーえーっとえーっと」と、「昏睡」ということばが出てこなくなったりするのを、めんどくさがって思い出さずに検索して調べちゃうのね。そういうことがだんだん増えているのです。(正直、仕事だとさっさと進めてしまいたいから効率を考えるとそうしがち)
自分の脳もちゃんと使って、機能が衰えないようにしないといけないな…と思いました。無事にあるものなんだからね、大事にしないとね…。